昨年お仕事させて頂いた朱音ちゃんから久しぶり&突然に電話がきた。
先日、ブログに「高校生の彼女(麻里)」の話しを途中まで書いたところ、たまたま「AV監督」で検索してクロサワのブログを発見したらしく、麻里との話しを読んだと言い、自宅に遊びに来たいと言う。
日曜の朝、居候のナナコは気を利かせて買い物に出かけた所、ほぼ入れ違いに朱音が尋ねてきた。
手にヴァイオリンケースを持っている。そうだ思い出した!確か彼女は芸大を卒業して、ヴァイオリンが得意だと言っていた。
朱音「監督のブログを読んだら、直接お話しが聞きたくなっちゃった。」
クロサワは、ドン・ペリが冷えるまでの間、麻里の話をする事にした。
・・・
「高校生の彼女(麻里)の話し」
麻里はクロサワの家に遊びに来ると、いつもピアノを弾いてくれた。
ただの電子ピアノだったが、彼女が奏でると、それは生命を持ちクロサワに語りかける様だった。
彼女が高校三年の冬休み。
彼女の家のクリスマスパーティに呼ばれた。
初めて、彼女の住所を知り、家に行って驚いた。
そこは、家ではなく豪邸、いや屋敷と呼ぶのが相応しい感じの建物だった。
暖炉の火が赤々とともり、大きなツリーはもちろん、テーブルには豪華な料理が並んでいる。これから映画の撮影をするのかと思う情景がそこにあり、しばし呆然としてしまった。
今であれば、パーティと言えばドレスコードを気にするが、何も知らずに行ったクロサワでも、さすがにその雰囲気から帰る事にした。 (ドレスコード:服装指定)
翌年、麻里は高校卒業と同時に海外の大学に留学する事になったと言う。
クロサワとの関係に気づいた親が、麻里のためにと話しをすすめたらしい。
そして、麻里には既に父親が決めた婚約者がいると言う。
二人は、清いまま SAYONARA をする事にした。
・・・
朱音「そうだったんだぁ~」
クロサワ「まさか、ブログが縁で想い出してくれるとは嬉しいなぁ。乾杯しよう!」
ドン・ペリで乾杯すると、朱音はケースからヴァイオリンを出した。
朱音「一緒に弾こっ!。 監督、Aくれる?」
クロサワ「えっ?」
朱音「アベ・マリアを・・・」
クロサワは、グランドを開けてAを出した。
朱音の奏でるヴァイオリンの旋律が、悲しい想い出を昨日の事の様に蘇らせる。
(朱音がヴァイオリンを弾いてくれたので、記念に録音しました。クロサワ、涙が出そうになり途中でコケたので、そこまでのアップですが・・・)
●アベ・マリア
http://kurosawa.moe-nifty.com/music/ave-vio.mp3
曲が終わると、朱音も、、、涙ぐんでいた。
クロサワ「・・・」
朱音「・・・」
クロサワ「麻里と、、、別れて、何年かしてから、逢ったんだよ・・・」
つづく